2024年3月27日
理事・副学長(情報システム担当)
太田 邦史
東京大学では,生成AIツールの利用を一律に禁止することはせず,教育・研究等における利用の可能性を積極的に探るとともに,活用上の実践的な注意を発信していく方針を取っています.
その一環として,情報システム本部では,全学の構成員が利用できる生成AIサービスの提供に取り組んでいます.2024年3月には,Microsoft Copilotによる生成AIチャットの提供についてお知らせしたところです.一方,2023年10月に開始した「Chatbot UI」による生成AIチャットサービスの実験的な提供については,大学が自らサーバを構築・維持する運用負担の観点や,OpenAI社のAPIの利用に関する費用負担の観点などから,継続に課題が生じています.
このような状況から,このたび,生成AIチャットの利用に関するアンケートを行った上で,生成AIサービスの提供についての当面の方針を定めました.
- 全学構成員向けの生成AIサービスは,当面,Microsoft Copilotによる生成AIチャットの提供を中心として位置付けます.Microsoft社との既存の契約の下で提供されるクラウドサービスであり,大学の運用負担・費用負担が小さいためです.
- Microsoft社の「商用データ保護を備えたMicrosoft Copilot」のページには,2024年3月現在,「将来的には、Copilot の商用データ保護を追加コストなしですべての Entra ID ユーザーに拡大することが私たちのビジョンです。」と記載されています.このことから,当面,サービス内容が縮小されたり追加の費用負担が必要となったりする可能性は低いと見込んでいます.
- UTokyo ARCや教職員向けITツール利活用コミュニティといったコミュニティなど,学内で生成AIに関するノウハウが共有できる環境の整備を続けます.
- 現時点の生成AIを活用して成果を得るためには,生成AIが得意な領域・苦手な領域に関する知識や,入力文(プロンプト)の工夫など,一定のノウハウが必要な側面があることも否めません.こうしたノウハウを求めている方に情報が行き届くように努力します.
- 既に生成AIを活用している構成員の皆様には,コミュニティへの参加や発言にご協力をお願いします.
- より高度な生成AIサービスを導入できないか,費用負担のあり方も含め,検討を続けます.
- たとえば,Officeアプリとの連携機能などを持つ「Copilot for Microsoft 365」は検討対象の一つです.すぐに取り組めるのはごく小規模な人数での試行に限られてしまいますが,試行を拡大してメリット・デメリットなどを評価しつつ,将来的に何らかの形で学内での導入ができないか検討していきたいと考えています.
- また,事務業務の業務改革の観点からは,教職員向けのUTokyo Portalなど学内に蓄積されている情報を簡単に引き出せるサービスの開発なども,検討の視野に入っています.
- 「Chatbot UI」を用いた生成AIチャットサービスの提供については,Microsoft Copilotの挙動がOSやブラウザなどの環境によっては不安定であるといった状況が見受けられることから,直ちには終了しないこととします.
- ただし,これまでお使いいただいていた方で引き続いての利用を希望する方には,あらためて手続きをお願いすることとします.詳細は「2024年度における「Chatbot UI」での生成AIチャットサービスの暫定的な提供について」をご覧ください.
なお,生成AIの利用にあたっては,以下で説明している注意事項なども参照してください.